（怪しい男たちに車で連れ去られるチュウ君とアーコ　：写真提供　中条さん）

ここに「五人と一ぴき」がスタートしたころのグラフNHKがあります。その中でこの番組は次のように紹介されています。

	『このドラマは、郊外の新しい住宅地に住む愉快な五人の子どもたちと一ぴきの犬を中心にした冒険探偵ものがたり。イギリスの女流作家エニード・ブライトンの「五人と一ぴき探偵団」を日本の少年少女向きに書きなおしたものです。』
	『五月第一週から第三週までのものがたりを紹介するとー
	探偵ごっこの大好きな仲良しの五人と一ぴきは、ときどきニセの事件をでっちあげてはあちこちに集まって捜査会議を開いたりして遊んでいます。
	あるとき、ふとしたことから町はずれの怪しい家の捜査をはじめ、とうとう本モノの事件に巻き込まれてしまいました。アーコとチュウ君が誰かに連れ去られたのです。ところがおとなたちはただの探偵ごっこだろうと相手になってくれません。
	気をもむフクちゃん、ミッチの目のまえに、そのアーコとチュウ君がひょっこり帰って来たのはよかったのですが、どういうわけかふたりは口をつぐんで何も話しません。それは悪者たちにおどかされてかたく口どめされていたからです。この降ってわいたようなおそろしい事件の中でたったひとつの収穫は、連れ去られた車の中でイニシアル入りのライターを拾って来たことです。
	一方、ひとりで怪しい牛乳配達車に乗りこんだ哲ちゃんが、こんどは行くえ不明になったのです。
	さあ大へん、哲ちゃんの身を案じたフクちゃんたちは、さっそく丘の上の怪しい家にのり込んで行くことにしました。
	四人は怪しい家の地下室へおりて行きます。地下室のものかげには悪者がかくれていることもしらずに。
	そのころ、犬のホームズは必死に丘の上の道を走っていましたー。』

「五人と一ぴき」はこのように子供たちが「友情」と「勇気」と「知恵」を大切にして悪ものたちに立ち向かっていくストーリーが多かったと思います。それらはとても身近に起きる出来事として共感できたし、番組の冒頭紹介文にもただの少年「探偵ものがたり」ではなく少年「”冒険”探偵ものがたり」とあるように、わくわくするような冒険的スト－リーも随所に盛り込んであり、またそれを見事に迫真の演技で飾った出演メンバーの方々や番組を支えたスタッフの方々の努力でこの番組は少年少女向けドラマとして異例の長期間継続放映となったのでしょう。

【中条さんのコメント】
五人と一ぴきの中での私の役柄は犯人に捕まることが、かなり多かったような気がしますね。よく犯人とかかわっている中で、「つづく」になった記憶があります。脱出したり、ホームズが連絡に走ったり、犯人に落とされそうになったり、犯人に蹴飛ばされたり、羽交い絞めにされたり、結構演技だけど痛かったですよ。私とかゴロちゃんはよく犯人にやられましたね。（笑）犯人との絡みは、緊張するシーンが多かったので、収録中もかなり緊張していたような気がします。「えっ、あっ、うっ、いっ、ぎゃー」なんていうセリフが多かったことが思いだされます。表情をつくるのも難しかったですね。犯人役の俳優さんは東京から来られる方が多かったような気がします。最近でも、水戸黄門などに出演されていた方もいて、懐かしく思ったこともありました。収録の合間に遊んでもらったこともよくありました。上の写真は、初期の頃で、ロケ撮影の時のことも少し覚えています。犯人がとても体の大きい方だったので印象的でした。もう一人犯人がいたような気がします。ライターの件で手のアップを撮ったような記憶があります。なにか思い出した方がいたら、教えてください。